シンデレラガールズは運営のもの。あるいはガールズ・イン・ザ・フロンティアについて

 第8回シンデレラガール総選挙が終わった。まだ結果は出ていないが、私の中では1回目のブログを書いた時点で終わっているも同然だったから、特に感慨もない。それでもあえて何か言うことがあるとすれば、私は、シンデレラガールズ運営との付き合いかたについて、ガールズ・イン・ザ・フロンティアについて考えている。

 『自分の足で歩けシンデレラ』のフレーズは物議を醸した。プロデューサーとアイドルが手と手を携え進んでいくストーリーの否定に聞こえるからだろう。でも反発心を起こす前に、プロデューサー側にできたことは何だったのか考えないといけない。プロデューサーは、発表された新曲やカードやコミュを前にして、「尊い」とか「エモい」とか「顔がいい」とか、変な鳴き声を受け身的に発するだけではなかったのだろうか。

 唯一プロデューサーの活動がものをいう総選挙ではどうだろう。以前述べた通りアイドルのエモさやストーリーのダイマは大して意味がないので、そうではなく、アイドルをわかりやすく面白いネタにして、拡散して、お祭り騒ぎをする。ツイッターの「投票先迷ってます」や「ダイマください」みたいなツイートに敏感に反応してリプライを送り、少しでも浮動票を稼ぐ(ここでダイマの意味があるかのように見えるが、送られたダイマ資料それ自体が投票に繋がったというより、リプライをもらったことが投票に繋がっていると考えるのが適切と思う)。さて、これらの活動は、アイドルと手と手を携えるイメージと合致するのだろうか。

 プロデューサーと呼ばれそう自ら名乗るほど熱心なユーザーが垂涎してやりたいことであるところの、アイドルのエモさ提供は全て運営がやる。運営がやらないと、プロデューサーはそれを紹介することもできない。運営担当Pなんて揶揄もあるけど、私達はみんな運営の掌の上にいるのだから、シンデレラガールズというコンテンツにいる以上、運営の引力からは逃れられない。

 恒常SSR二週目が始まったのはガールズ・イン・ザ・フロンティア発表とそう離れていない時期だった。このころから運営とユーザー、Pの意見の不一致が目立ち始め、最近の新アイドル批判にまで繋がっている。反発の背景には、Pは運営に依存しなければならないという事実から目を反らしたいという欲望が隠れている。

 Pとアイドルの関係は、祠とその信者みたいな関係に近い、と思う。祠の中の本尊は見目麗しいだけでなく深い感慨を与えてくれるが、それはガラスケースで覆われていて手を触れることもできない。でも周りの人にもこの尊さを伝えたい、広めることぐらいしかできない。そこで祠の回りで本尊に絡めた大道芸をやって人目を引く。大抵の人はちょっと見て笑って去っていく。少しの人はそのままそこに残って一緒に芸をしてくれるようになる。さらに一部の人が実際に祠を覗いてくれて、さらに一部がその尊さを理解してくれる。誰かが人の見ていない隙にガラスケースを開けてメンテナンスをしているのか、本尊は時々姿を変えていることがあって、それを見て離れる人も少しはいるけど、信者は変わらず有り難がって宣伝に努める。本尊を弄れるのは、運営だけだ。

 アイドルの手と手を携えているのは、運営なのであって、Pではない。『お気に入りだったフェアリーテイル』とは、アイドルとPの蜜月の関係だったのだ。フェアリーテイルはおとぎ話とか作り話の意味。最初からPにそんな関係はなかったのだと示唆している。

『待っていても手には入らない 本当の宝物は』プロデューサーは、アイドルに楽曲のような宝物を、本質的な意味で与えられない。

『夢は人に託すな かけがえのない権利』プロデューサーに希望を求めてはいけない。曲を作るのは運営の権利だ。

『お仕着せの幻想捨てて』プロデューサーがアイドルに対して出来ることがあるという幻想を捨てて

『新たな地平へと 飛び出そう』 私達は分を弁えなければならない。

『守るべきは過去じゃない』 アイドルの知名度確保だって、運営が一番強かったと、夢見りあむを見て思わなければならない。Pがアイドルに何かしてあげられるなんて、一時の幸せな夢だった。総選挙に思い入れが強すぎて、心がコントロール幻想に囚われていたんだ。

『Stay at the frontier!』 アイドルは運営に引っ張られ、いつだって最先端の輝きを見せている。

 
 結局、『自分の足で歩け』とは、積極的には、アイドルは運営の制御のもとに動きますという意味でしかない。総選挙を戦う上でも、一番の燃料はガチャブーストまで含めて運営提供のものだ。私達は、シンデレラガールズというコンテンツに対して大きな影響を与えられるという幻想を捨てて、謙虚に受け身に楽しまなければならない。デレステが面白くなる確率は100%だと、どこかのライブでも言ってたんだから。