夢見りあむの後に、シンデレラガールズ総選挙で笑うために

 (2019.5.17追記  大きくは変えていませんが、内容に少し手を入れました)

 前回のブログの感想の中に、私の意図がうまく伝わらなかったな、と思われるものが少し見られた。なので、前回の補足を中心に、シンデレラガールズ総選挙について私が考えたことをまとめておく。
 まず、前回のブログの文章への批判として見られたものをピックアップして箇条書きにし、それに応えておく。

①夢見りあむは物語を持つアイドルであって、この文章は夢見りあむを否定している

 前半はその通りで、夢見りあむがシンデレラガールになることで生まれる物語はある。安部菜々本田未央北条加蓮と同じように。「尊い」物語がないと書いたが、ここは、登場回数によって重ねられる歴史性がなく、夢見りあむがシンデレラガールになる物語に説得力が低い、等のように書くべきところだったのだろう。夢見りあむがシンデレラガールになる物語の意味を「負のカタルシス」と表現したが、これは私が夢見りあむの物語に感じるものであって、そこまで広い一般性のある感想ではないかもしれない。しかし同時に、それなりに妥当で共有できるものだとも思っている。それはさておき、夢見りあむが物語を持っていたとして、その物語が総選挙で果たす役割はごくわずかだと主張したのが前回のブログの趣旨である。夢見りあむの物語が存在することは認めるが、その物語が選挙に与える影響には否定的にならざるを得ない。

北条加蓮本田未央を侮辱している

 これは全くの誤解から来る。こう考えられた方は、総選挙で勝つアイドルにはそれにふさわしい物語があり、夢見りあむはそれを持っていないと考えておられるのかもしれない。しかし、総選挙の勝敗を決するのは各アイドルの物語の優劣を比較した結果ではなく、担当Pがアイドルを料理した面白く目を引く拡散マーケティングがどれだけうまくいったかである。ここを誤解してはいけない。本田未央北条加蓮のどちらがシンデレラガールにふさわしいか、客観的に判定する基準はあるのかどうか考えて欲しい。ないと考えられた賢明な読者は、次に本田未央と夢見りあむどちらがシンデレラガールにふさわしいか客観的に判定できるかどうか考えて欲しい。夢見りあむだって、なにもできなくてもシンデレラガールになれて愛されることができる様子が人々に希望を与える、とかなんとでも物語は作れる。これに説得力はあまりないかもしれないが、物語の優劣は、個人が自分の経験を踏まえながらテキストを読んでその結果感じるものだから、人によって千差万別だ。このことが分かっていれば、夢見りあむの物語だけ否定的に扱うことはできないと思う。もしそんな風に優劣を決められると考えている人がいれば、それは夢見りあむが自分の贔屓のアイドルに不利益をもたらすと考えたからだと邪推されても仕方がない。全てのアイドルの担当Pは自分の担当アイドルが一番シンデレラガールにふさわしいと考えており、どのアイドルの物語の否定も全ての担当Pへの侮辱である。さて以上のように物語の優劣は、それを決められない以上シンデレラガールズ総選挙に大した意味がないとわかれば、総選挙を決するのは量の問題、たくさんの人が投票するかどうかにかかっていることが分かり、必然利用可能性ヒューリスティックが大きく関わることになる。すると本田未央北条加蓮も人間の持つ利用可能性ヒューリスティックの影響をかなり受けた上で票を得ていると考えられ、彼女らがそうやって票を得ていることを指摘したところで彼女らを侮辱したことにはならない。繰り返しになるが、これを侮辱と考える人は物語の影響を大きく見積りすぎている。これは、その人が自分の担当アイドルの物語に感じいりすぎていることからくる偏見が邪魔をして、客観的にものを見られなくなっているところから来ているのだろう。アイドルの物語に優劣をつけられないこと、物語を中心にアイドルを見る人はそうでないひとに較べて圧倒的少数であることを冷静に見据えるべきである。

安部菜々Pの努力を否定している

 これも誤解である。安部菜々Pの方々は本当に努力されたことと思う。しかし全ての努力が安部菜々のシンデレラガール獲得に貢献したわけではない。安部菜々のストーリーがいかに素晴らしく尊敬に値するかをこんこんと説いたマーケティングには閑古鳥が鳴き、ウサミンと豆腐を合体させたりウサミンとアーティストを合体させたわけのわからないものに人気が殺到する。これを考えると、総選挙を勝ち抜くには無駄な努力と有意義な努力があり、無駄な努力とは言うまでもなく担当の魅力に感じ入ってそれを広めようとすることの方だと分かる。努力することに意味がある、なんて言い回しがあるか、これは耳障りのいいごまかしだ。結果の出せる努力と結果の出にくい努力があることを隠蔽している。結果の出せない努力なんてしても本人の満足以外なにも得られるものがなく、あなたの担当は順位が伸びず声もつかず出番がないままだ。その結果を受け入れるなら、当ブログは無駄な努力を否定するものではない。ただ、この手の努力が報われると信じていると、結果と信念との間に矛盾が生じて心が不健康になり、運営批判のような不毛なことばかりするようになってしまい、それを見た他の人があなたの担当アイドルへの投票を控えるようになり、それによって次も結果が振るわず、……と負のループに入るかもしれないし、体も心も健康が一番大事だ。努力と結果の因果関係を理解した上で努力をするべきと思う。なお運営批判が不毛である理由は、運営に自分達の声を反映させる手段は基本的にないからである。運営は、全てのルールを握っている(北条加蓮にガチャブーストを入れるかどうかなんて最たるものだ)。運営はおそらく、その戦略にあなたが反発してお金を出さなくなっても、他の人が賛同してあなたの分もお金を出してくれればそれでいいと考えている。しかし総選挙だけは運営も少しは考慮せざるを得ない。それに勝つ方法は、自分の信じる担当の素晴らしい物語を広めることではなく、担当アイドルをたくさんの人の目につくようにネタにしながら広めることである。

 いささか長くなったが、ここまで前回の記事への誤解を解きながら進めてきた。ここから具体的に、どんな手段なら総選挙を勝ち抜けるかを軽く考えておく。
 
 まず、利用可能性ヒューリスティックのことを頭に入れておかないといけない。復習すると、利用可能性ヒューリスティックとは、人が複数の選択肢からあるものを選択する場合、考慮すべき要素が多すぎて決められないがそれでも選択しなければならないときに、頭にすぐ浮かんだ選択肢を選ぶようにする無意識の働きのことである。補足すると、担当への思いや物語への思い入れが強い人は、投票するアイドルを利用可能性ヒューリスティックで決めているとは考えにくい。その人は投票するアイドルをはっきり決められるからである。しかし圧倒的大多数はそんな風に担当をはっきり決めている訳ではなく、顔も容姿もスリーサイズも血液型も性格も声優さんも歌もイベントも好きなCPやユニットも……と数えきれないほどの投票するとき考慮すべき要素を前に誰に入れるか決めかねている。そんな風な多くの人が投票するとき利用可能性ヒューリスティックが頭に働いていると覚えておこう。

 総選挙を勝ち抜くには、この人間が持つ利用可能性ヒューリスティックをうまく利用しなければならない。他人の心に強い印象を与えておくことで、投票のときその印象を思い浮かべて利用可能性ヒューリスティックが働くことを期待するのだ。商品の広告がみんなやっていることなんだから、ズルくもなんともない。

 ここで鍵が見つかった。「他人の心に強い印象を与える」がそれだ。これをどう具体的にして実行するかが、総選挙を戦うということに等しい。ここからは各担当Pがいろいろ考えるところだろうが、一般的に言えそうなことを少し私も書いておく。

 要らないとは思うが一応、物語を使うという手段について書いておく。これによって心に印象を与えられることは与えられるのだが、いかんせん長い文章中心になってしまい、イラストによる視覚刺激や動画による視覚、聴覚両方の刺激に比べるとどうしても弱く、しかも読むという手間を挟む以上触れてもらえない確率が高い。以上を考えると、この手段は使わないほうがよい。あなたが削りに削った文章は、他の人にとっては長すぎるのだ。

 他によくあるのが、キャッチーなフレーズや面白いネタを作ってとにかく広めるものだ。セクシーデリバリー松本なんかがこれにあたると思う。でもこれは誰でも分かることで、問題は、これをどう生み出すかという方法のところにある。何がうけるかなんてやってみないと分からないところもあるから、運の要素が大きく、狙って産み出せるものではない公算が大きい。となると、とにかく大量に作ってとにかく広めることが重要になる。広まっているものを見ると人は、自分では面白さが分からなくても、広まっているという事実と自分の心との矛盾に整合性をとるために、自分の認識の方を変えてしまうという特性がある(詳しくは、認知的不協和の理論という)ため、広めるということは見かけ以上に重要だ(これがダイマはRTだけでも選挙協力になることの理由だ)。また、たくさんのアイデアを出すのに1人の革新的アイデアマンが全てやる、というのは現実的でなく、難しいであろう。上記二つから、アイデアと拡散の両方に人数が必要なことが分かるが、これが既存人気アイドルが強い理由の1つだ。人数が多いとネタができ、ネタがあると人数が増えて、そこからネタができ……と因果が正の方向にループする。勝ち組が勝ちやすくなっているという夢も希望もない話だが、シンデレラの魔法は夢見りあむが無効化したのだから仕方がない。人数がいないなら、とにかくアイデアを出しまくることだけを考えて、バズったらそれに全力で乗っかることだけ考えよう。自分でつまらないと思ったネタも、全力で広めよう。何がうけるか分からない。質より量、量こそ正義の精神が大事だ。他ジャンル人気作品に紐付けたり、食べ物と絡めたり、記念日にかこつけたり、……何でも試そう。質のことを少しだけ書いておくと、人間の三大欲求である食欲と性欲に結び付いていると、広まりやすいだろう。Pの多数であるところの成人男性はなんだかんだ言って性的なネタに敏感だ。他、これと関連して、グループが排他的だと人数が稼げずアイデアも出にくく、正のループに入りにくくなってしまう。正攻法じゃなきゃ嫌だ、担当をネタになんてしたくない、という人とはしっかり住み分けて、理想だけ言って結果を出さない人は無視しよう。拡散するなら何でもありが重要だ。また、運営への不満が代表的だが、暗い雰囲気は他の人の接触を妨げ、拡散の邪魔になる。悲しい出来事は心の奥に隠すか愚痴垢に垂れ流すかして、このアイドルの界隈はいつも明るく楽しそうだ、近づいてみたいとみんなに思わせよう。

 他にも書いておく、シンデレラガールズ総選挙で投票したことをツイッターでツイートすることができるが、このツイートに対してリツイートやいいねをすることは次の投票に繋がりやすいと思われる。たいていの人は拡散力がなく人気ツイッタラーでもないが、一度くらい何千RT何千いいねされて有名になりたいと夢想している。この夢想を投票ツイートの拡散で実現してやれば、その人はまた投票したらたくさん拡散されると感じて次も投票してくれる。それをまたRTいいねする……、と、何度も繰り返すと、その人はこのアイドルへの投票は自分の承認欲求を満たすと確信し、投票してくれるようになる。単純ながら効果が高いので、これは是非実行して欲しい。この時アイコンを担当アイドルにしておくと、そのアイドルの顔と承認欲求が満たされた快感が結びつけて印象付けられ、その人にとってのあなたの担当アイドルへの印象はよくなるだろう。RTもいいねも両方して、効果を最大にしよう。

 他に、アイドルの顔を何度も見ていると、回数を重ねるごとにそのアイドルが好きになっていくという現象もある。あなたの担当アイドルのイラストやネタを見つけたら、その人の応援のためと、あなたのフォロワーにそれを見てもらうために、積極的にRTしよう。

 さて、票を得るための方法をいくつか考えて挙げてみたが、どうだっただろうか。すでに分かっていたことばかりだったかもしれないが、筆者は、この方法がすべて、あなたの担当アイドルへの投票を促すものだと確信している。夢見りあむや運営や声付き新アイドルを批判してもあなたの担当は優遇されないが、上記方法ならシンデレラガールズ総選挙で結果を残せると申し添えて、筆をおく。